この記事をおすすめする人
この記事は、家計の管理を、自分自身で始めることになった新社会人に、家計のバッファー(ゆとり)作りを提案するものです。新社会人だけでなく、つぎのような人にもおすすめします。
・家計管理の初心者
・現在の家計に不安がある人
この記事でわかること
この記事では、つぎのことが分かります。
・家計にバッファーが必要な理由
・バッファーの目標額と決め方
・目標額の貯め方
家計とは何か
家計というと、主婦が家計簿をつけて管理しているイメージでしょうか。しかし、家計は、家庭の主婦のものだけではありません。
社会人になり、実家をはなれて独り暮らしを始めれば、実家の家計から独立します。実家にとどまるとしても、一人前の収入を得るようになれば、実家の家計から独立するのが一般的です。そこから先は、自分の家計を立ち上げて、自分で管理することになります。
- 世帯の生活を維持するための
- お金のやりくり
これが、家計です。独り暮らしの世帯であれば、1人分の家計があるということです。
家計は、世帯の生活を維持する生命線です。生命線を切らさないように、どうお金をやりくりすべきか。具体的な方法はともかく、いちばん大切なのは、お金の収支を絶対に赤字にしないように、やりくりすることです。
生活を維持するためには、必要な時に、必要なお金を支払わなくてはなりません。お金の収支が赤字、つまり残高が0を切ると、お金を払えなくなります。この状態を、家計の破たんといいます。家計が破たんすると、生活は維持できなくなります。
ちなみに、ここでいうお金とは、現金と、すぐに現金にできる普通預金などの合計額と考えてください。すぐに使える状態であることが大切です。
まずは、家計の基礎を固める
お金の残高がある限り、生活は維持できます。しかし、残高がわずかだと、思いがけない支出で家計が破たんする可能性が高くなります。
思いがけないことは、支出ばかりではありません。失業などで、収入が急になくなることも、あり得ます。
残高が少なくなるほど、家計が破綻するリスクは高くなります。
そこで、自分の家計の管理を始めたら、まずやるべきは、思いがけない支出の増加や、収入の減少にも耐えられる、ゆとりを作ることです。このゆとりが、耐久性のある家計の基礎となる、バッファーです。
バッファーができたら、それまで基礎に振り向けてきたお金を、安心して、別の目的に使えるようになります。例えば、投資にお金を振り向けて、お金を殖やせれば、家計の新たな収入源にもなります。
新社会人は、家計の基礎を固めるのに最も適した時期にいます。多くの場合、独身です。基本的に、収入はすべて自分のために使うことができます。家庭を持ち、世帯の人数が増えれば、家計の収支は厳しくなって行きます。
さて、安定感のある家計の基礎となるバッファーとして、いくら必要なのか。絶対的な基準はありませんが、【目標1】から【目標3】に向かって増やして行くことを提案します。次の目標に向かうことが、どうしても難しい場合があるかもしれません。そのときは、最初の目標を達成できたところで、ひとまず中断しましょう。
【目標1】
まずは、世帯の支出の半年分。
(収入が0になっても、半年間は、持ちこたえられるように。)
【目標2】
1を達成したら、世帯の手取り収入の半年分。
【目標3】
2も達成できたら、世帯1人当たり100万円。
なお、目標は必要に応じて見直してください。特に世帯の構成が変わった場合は、必ず見直しましょう。もし、世帯の人数が増えたなら、支出は増加します。また、家計が破たんした場合の影響も大きくなります。
世帯によっては、【目標1】や【目標2】が、初めから次の目標を上回る場合もあります。そのときは、【目標2】や【目標3】を最初の目標とします。
目標に達したとしても、思いがけない支出や収入の減少があれば、バッファーは減ってしまいます。しかし、残念がることはありません。ゆとりを作っておいて良かったのです。次に備えて、また元に戻しておきましょう。
バッファーの目標額を決める
まずは、【目標1:世帯の支出の半年分】を貯めることを目標にします。
目標のベースとなる、世帯の支出は、生活を維持するための最低限の支出です。趣味や娯楽など、いざという時に切り捨てるべき支出は、含めません。備えが厚いに越したことはありませんが、基本的には、使わずに寝かせておくだけのお金です。必要最低限としておくことが合理的です。
同じ会社の新入社員という設定で、2つの例を示します。目標額を決める参考にしてください。比較しやすくするため、手取り収入は、2人とも同じとしました。

手取り収入は18万円です。
一人暮らしをしたくて、家賃6万円/月のワンルームマンションを借りました。水道光熱費は2万円/月、携帯代は5千円/月、外食や化粧品、衣類などの生活費は6万円/月くらいかかりそうです。お金のかかる趣味はありません。
生活費のうち約1万円/月は、友人との外食費です。
学生時代の貯金は、マンションを借りたときの敷金や引っ越し代、家具などの購入で減ってしまいました。いまは10万円くらい残っています。
※ 賞与は考慮しないものとします。
家賃、水道光熱費、その他生活費として、14万5千円必要です。このうち、友人との外食費1万円は、いざとなれば使わないものとして、13万5千円×6か月=81万円が半年分の支出額になります。
貯金が10万円ほどあるそうなので、81万円-10万円=71万円を【目標1】の金額とします。
手取り収入ほかの条件が変わらないとすれば、毎月、18万円-14万5千円=3万5千円残ります。毎月3万5千円ずつ貯めるとすると、71万円÷3万5千円=20.2か月なので、約1年半で貯められそうです。

手取り収入は18万円です。
会社には実家から通っています。
いまは、7万円/月くらいを友達づきあいや趣味に使っています。
携帯代は1万円/月くらいです。
社会人になったら、生活費として3万円/月を払うよう両親から言われました。
※ 賞与は考慮しないものとします。
実家から通える人は、【目標1】支出の半年分ではなく、【目標2】手取り収入の半年分から始めましょう。
この例の場合、収入が0になったとしても、当面は実家の世話になれる可能性が高いと考えられます。そこで、生活を維持するための最低限の支出を0円にすると、【目標1】が0円になってしまいます。そのため、【目標2】から始めることにします。
とはいえ、いつまで実家から通えるか分かりません。また、実家の世話をあてにし続けるわけにもいきません。将来に向けて、早々に備えを固めておきましょう。友達づきあいや趣味に使うお金などは見直さず、生活費3万円が必要だとしても、それ以外のお金は手元に残せます。
具体的には、【目標2】の金額が18万円×6か月=108万円となります。これだと【目標3】の100万円も超えてしまうので、目標額は100万円とします。手取り収入ほかの条件が変わらないとすると、毎月、18万円-11万円=7万円残ります。毎月7万円ずつ貯めるとすると、100万円÷7万円=14.2か月なので、約1年で貯められそうです。

上の2人は、毎月の生活費をきちんと把握しているようですが、私は、そんなにしっかり把握していません。どうしたらよいでしょうか。
いちばん良いのは、2~3か月、支出を記録してみることです。それが難しければ、給与が入金した直後と、次の給与が入金する直前の、現金+普通預金残高の差額を1か月の支出額とする方法を提案します。これを2~3か月やってみてください。
目標額をどう貯めるか
給与の振込口座がある銀行が提供している、自動積立預金サービスを利用することをおすすめします。ポイントは、貯めるべきお金を、いったん自分の手に取らないことです。
自動積立預金なら、銀行が貯めておいてくれるので、積立金を手に取ることがありません。欲望に負けてお金を使ってしまう可能性が、かなり少なくなります。
目的を持ってお金を貯めるスキルは、住まいの購入、自己研鑽や子供の教育資金など、様々なライフイベントのための資金作りにも役立ちます。
目標額が貯まるまでに、気になるかもしれないこと
目標額が貯まるまでの期間は、人それぞれです。先ほどの例では、1年から1年半かかる見込みとなりました。その間、淡々と貯めることができる人もいれば、いろいろと気になることが出てくる人もいるでしょう。
そこで、気になりそうなことをいくつか挙げて、対応を考えてみました。ただし、絶対に正しい答えはありません。最後は、自分自身で判断することになります。
節約をしたほうが良いか
無理なくできる節約なら、ぜひ取り組んでください。予定より早く、目標額に到達できます。
ただし、無理な節約はやめましょう。目標額を貯めることが苦痛になります。お金を貯めるのは、楽にできることではありません。苦労や我慢があると思います。しかし、苦痛を感じるほどのことなら、無理は禁物です。大切なのは、目標額を貯めることです。達成するまでのスピード競争ではありません。
言うでもなく、安易に楽な方へ流れるのは禁物です。目標額を貯める意義を理解して、強い意志を持って、着実に貯めましょう。
保険に加入したほうが良いか
この段落の後半で、1つ、加入を提案する保険があります。しかし、独身の社会人で、会社員や公務員なら、その他の保険は基本的に不要です。病気、けが、失業などに備えた公的保険に、自動的に加入しているからです。
保険の欠点は、目的が限定されていることです。例えば、医療保険は、病気やけがをしなければ、保険金がもらえません。対象となる病気が決まっている場合もあります。何かに備えるといっても、その何かは、起こるまで分かりません。思いつく何かに対して、それぞれ保険をかけていたら、きりがありません。
それよりも、何にでも対応できるお金を、まず貯めることです。
とはいえ、筆者としては、個人賠償責任保険には加入した方が良いと考えています。
個人賠償責任保険とは、日常生活で、自分以外の第三者や物に損害を与えてしまったときに、その損害を補償する保険です。公的保険が対象としていないリスクをカバーできる点で、加入する価値があります。
個人賠償責任保険は、自動車保険や、賃貸住宅を借りる時に加入する火災保険などの特約として、すでに加入している場合があります。ご家族が加入済の自動車保険や、自分で借りたワンルームマンションの火災保険の特約などを調べてみてください。
そうしたものがなく、自分で加入する必要がある場合は、自転車保険に加入することをおすすめします。全国の自治体で加入の義務化が進んでいるので、すでに加入しているかもしれません。
自転車保険の特約で、日常生活において他人にけがをさせたり、他人の物を破損した場合の損害賠償に対する補償をつけることができます。保険料は月に数百円程度なので、目標額を貯めている間でも、負担になることはないでしょう。
投資をしてみたい
投資は余裕資金で、といわれます。家計の基礎となる目標額を貯めている間は、投資の勉強にちょうどよい時間となります。
一方で、その間、投資の経験を積めないのは、時間がもったいないとも思います。そこで、2つの提案をします。
1つ目の提案は、勤め先で確定拠出年金(企業型)が導入されている場合、元本が保証される定期預金だけではなく、投資信託などの金融商品も組み合わせて運用することです。どのように運用するかは、自分自身で決められます。つまり、自分で投資していることと、全く同じです。
勤め先で確定拠出年金(企業型)が導入されていない場合は、iDeCoに加入することです。iDeCoの掛金を拠出する必要があるので、目標額の達成時期にあまり影響が出ない金額にしましょう。拠出した資金をどのように運用するかは、自分自身で決められます。投資と全く同じことです。
ただし、2つ注意点があります。1つ目は、運用しているお金は年金になるので、60歳になるまで手にすることができないことです。2つ目は、掛金の金額を変更できるのが、1年に1回のみということです。そのため、掛金の金額は、無理のないよう慎重に決めましょう。
2つ目の提案は、目標額の達成時期にあまり影響が出ない範囲で、NISA制度を利用して少額のつみたて投資をすることです。
1つ目の提案に対して、つぎのようなメリットとデメリットがあります。
必要なときに換金できる。
年金は、60歳になるまで運用しているお金を引き出せません。
税金を少なくできる仕組みが、年金より劣る。
確定拠出年金には、掛金を拠出するときや、年金として受け取るときに、税金を少なくできる仕組みがあります。また、掛金の運用益にも税金がかかりません。
いずれの提案も、一長一短があります。共通の長所は、掛金などの運用成績と実際の経済との関係とを、体感できることです。勉強だけでは物足りない人や、少しでも早く投資に取り組みたい人は、検討してみてください。
オリンピックを観戦するために海外旅行をしたい
オリンピックなど、何年かに1度しか開催されないイベントの観戦は、いつでもできるわけではありません。お金の方は、貯め時はあるにせよ、少し時期がずれても挽回できます。観戦のチャンスが今しかないのであれば、検討の余地はあると思います。
目標額を貯めている途中で、このようなイベントに遭遇してしまうと、悩ましいところです。これまで貯めた目標額に手をつけてでも、行く価値があると判断したら、行くべきでしょう。
帰国したら、もう一度、目標額を貯めましょう。
まとめ
新社会人が、親の家計から独立して、自分自身の家計を管理するようになったら、まず何をすべきか。思いがけない支出や収入の減少によって、家計が破たんしないよう、バッファーを作って、家計の基礎を固めることです。
一般的に、新社会人のころは、まだ扶養する家族がおらず、家計における支出の負担が少ない時期です。まさに、お金の貯め期にあたります。ここでしっかりと、基礎を固めておき、不測の事態に強い家計にしておきましょう。後回しにしないで、集中的に取り組むことを、強く勧めます。
貯め期は、家族の年齢や構成、ライフイベントの時期等によって変わってきます。ご自身の「ライフプラン」を作って、その時期をあらかじめ確認しておきたいものです。
この記事では、貯めるべき金額をいくつか提案しましたが、まずは世帯の支出の半年分です。収入が0になったとしても、当面の生活を維持できることをに目標にしています。さらに、段階的に増やし、世帯1人当たり100万円まで貯められれば、かなり安心です。
ただし、不測の事態に備えるためなので、基本的に使わないお金です。必要かつ最低限としておくことが大切です。
お金を上手に使う、殖やすということも、充実した生活を送る上で、とても重要です。
まずは、しっかり基礎を作ったうえで、それらに取り組んで行きましょう。







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